不動産管理会社の上手な活用法 その3

    ~不動産所有方式の場合における土地貸借の留意点~


      不動産所有方式の場合には、建物のみを不動産管理会社へ移転させる対策が中心になると
     思われます。この場合には土地と建物の所有者が異なるため、借地権等の課税関係に細心の
     注意を払っておかなければなりません。土地の貸借方法の選択によっては、毎年の所得税や法
     人税の問題だけでなく、将来の相続税にも影響を与えるので慎重に判断することが必要です。

  1 知っておきたい3つの土地貸借の方式

   
      土地貸借取引の一方又はその双方が法人の場合における土地貸借では、以下の3つの方
     式が考えられます。それぞれの方式の概要等については図1のとおりです。

 【図1】 土地貸借の3つの方式
借地契約の形態 詳細区分     方式の概要
権利金方式       借地権の設定に際し、借地権に相当する権利金を支払う方式
相当の地代方式 相当の地代改訂型  借地権の設定に際し、権利金の支払いに代えて、土地の使用の対価として相当の地代(自用地としての価額に対して概ね年6%程度の地代)を収受する方式 3年以下の期間ごとに地代を改訂する方法
相当の地代据置型 相当の地代を固定する方法
無償返還方式 借地契約賃貸借型  土地貸借取引の一方又はその双方が法人の場合に、取引当事者間において借地権を認識しないときに、借地権の認定課税を回避するために「土地の無償返還に関する届出書」を提出する方法。 民法の規定に基づく賃貸借契約
借地契約使用貸借型 民法の規定に基づく使用貸借契約

2 最も多く採用される「土地の無償返還方式」

  
      建物のみを所有する不動産所有方式による場合に、実務上、土地の無償返還方式が最も
    多く採用されるものと思われます。ここで使用される「土地の無償返還に関する届出書」は、土
    地所有者と借地人間において将来無償で土地を返還することを約した届出書です。この届出
    書が提出されている場合の借地権の価額はゼロとして扱いますが、借地人が地主と同族関係
    にある同族会社の場合は、その同族会社の株価の計算上、自用地評価額の20%(建物が貸
    家の場合には14%)相当額が純資産価額に加算(使用貸借以外の場合)されます。
     また、賃宅地の価額は、賃貸借である場合には、借地借家法上は借地権が認識されることか
    ら、自由に使用収益することができないことを考慮して、自用地としての価額からその価額の20
    %に相当する金額を控除して評価することとされています。しかし、土地の貸借関係が使用貸借
    契約である場合には、その宅地は自家用地評価額で評価され、借地人である同族会社の株価の
    計算上、純資産価額に加算される金額もありません。(図2参照)
     なお、この方式による場合に地主が「個人」であれば、地代の額はゼロ(使用貸借)から相当の
    地代(自用地の価額の6%)までの間で自由に設定しても、地代の認定課税などの問題は生じま
    せん。

【図2】 賃宅地等の相続税評価額
  借地権(不動産管理会社) 賃宅地(個人)
相続税評価額 賃貸借 (株価評価)
自家用地評価額×20%(加算)
※建物が貸家の場合には14%を加算
自家用地評価額×80%
使用貸借 (株価評価)0円(加算する金額はない) 自家用地評価額

3 不動産所有方式における土地貸借と小規模宅地等の特例の留意点

 
      小規模宅地等の特例の適用については、個人が相続や遺贈により取得した宅地等で、相当
     の対価を得て継続的に不動産の貸付の用に供されているなど一定の要件を満たす宅地等であ
     れば、貸付規模の大小に関わりなく、「貸付事業用宅地等」として200㎡までの部分について、
     その評価額を50%減額することができます。
      そこで、下記の設例を用いて、個人所有の土地に同族法人がアパートを所有している場合の土
     地貸借が「賃貸借」か「使用貸借」のいずれであるかによって小規模宅地等の特例の適用がどの
     ように異なるのかを確認します。(設例参照)

  設例
     1 土地の相続税評価額4,800万円(地積400㎡)
     2 同上地には不動産管理会社が所有するアパートが建っています。
       なお、「土地の無償返還に関する届出書」は提出しています。

  使用貸借契約 賃貸借契約
土地の相続税評価額 自用地 4,800万円 賃宅地 3,840万円(注2)
小規模宅地等の特例 適用を受けることはできない(注1) 貸付事業用宅地等に該当 △ 960万円(注3)
課税価格に算入される金額 4,800万円 2,880万円

      (注1) 相当の対価を借地人から受けていないため、貸付事業の用に供されていた宅
           地等に該当せず、適用を受けることはできません。
      (注2) 4,800万円×80%=3,840万円
      (注3) 小規模宅地等の軽減額(3,840万円×200㎡/400㎡)×50%=960万円

      土地貸借が「賃貸借」であれば、個人地主に相続が発生した場合の土地の評価額は、自
     用地評価額の80%評価となり、さらに小規模宅地等の特例(50%の減額)の適用を選択す
     れば、「使用貸借契約」の場合より1,920万円課税価額が減額されます。

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